こんにちは!南ポルトガル・アルガルブ(algarve)地方の町、Praia da luz在住。フランス料理、フランス菓子ベースのホームデリバリーをやっています。Algarve はアルガルベ、アルガルヴェと日本語では表記されていますが “アルガルブ” が正しい発音です。

日々のこと、ポルトガル・スペイン・フランス、ヨーロッパのこと。言葉に関しては ⇧「フランス語・ポルトガル語」に別ブログで書いてます。⇧「Serge & Satoshi Home delivery」はデリバリーのFBページです。⇧「Paradores/パラドール」にはスペインのパラドールの滞在記をまとめています。

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2020-09-04

ポルトガルの医療システム体験レポート、手術そして回復するまで


いざ、手術室へ


手術室へ、の前に、その隣の部屋に連れていかれ、まず執刀医(ここの病院で診察してくれたお医者さん)が現れて、立った状態で左足の静脈をチェック。

これは手術の後に渡された紙に書いてあるのを読んで知ったのだけれど、施された手術はストリッピング。問題を起こしている静脈にワイヤーを通してその静脈を引き抜いてしまう、下肢静脈瘤で、最も一般的な手術だそうな。
静脈を引き抜いているところを想像しただけで、背筋がゾワッとしてきます。
手術前に知らなくて良かったかも。

再び、ベッドに横になりついに手術室へ。
ここから結構色々な人たちが入れ替わり立ち替わり手術室を出入りするように。

注射器

そのうちの一人から、
「ベットの上に向こうを向いて座って」
と言われ、その通りにすると、背骨のちょうど腰の当たりを触り始め、そして何やらヒヤッとする物を塗り始めました。

「麻酔か!」


背骨に麻酔を打たれるんだ、と分かった瞬間から、もうこれからとんでもなく痛い思いをするのではないかと気持ちが焦る!(焦ったところでどうしようもないけど…)

その間にも麻酔技師は何やら背中に塗っていて、どんどん塗られた場所が冷たくなっていくのが分かる。
これって麻酔を打つ時の痛みを和らげるための、麻酔のための麻酔のようなものですよね。

「ちょっとチクッとするよ~」(というようなことをポルトガル語で言ったのだと思う)

と言われて、相当の痛みが来ることを覚悟していたら…!!!…!!!…採血の時とほぼ同じ感じ…待ち構えていたほど痛くはない…これ以上痛くならないんなら大丈夫…

と思っているうちに腿の辺りが何となく痺れてくる感じが伝わってきました。
全身麻酔かと思ってたら部分麻酔。

「それじゃあ、横になって」

と言われるままに左を向いた状態で横になり、それから心拍数、血圧、心電図を取るための機材を指や腕に着けられ、そしていつの間にか手術が始まっていたようです。
というのは、その時には完全に麻酔が効いていて脚の方で何かやっている微かな感覚はあるけれども何をやっているのは分からず。

そのうちにじゃあ、下を向いて(うつ伏せになって)と言われ(もとい、もう麻酔が効いていて自分ではどうすることもできないので4人がかりでうつ伏せにさせられる)、しばらくすると、上を向いて、と言って4人がかりで仰向けにさせられ、手術は進む。

その間、ラジオからポルトガル語のポップスのような音楽が流れ、手術室にいる5~6人はほとんど世間話(全部は聞き取れなかったけど)。超緊張している患者をよそに彼らはリラックスしている様子でした。
まぁ、そうですよね。僕にとっては生まれて初めての手術だけれど、彼らにとってはもう何度目の手術か?

1時間半くらいかかったか、
「Já está, acabou!」(はい、終わり!)
と言われた時には、兎にも角にもホッとしました。


そして、色々なものが体から取り外され、手術しているところが見えないように僕の視界を遮っていた覆いも外されそこで対面した左脚は、てっきり包帯でぐるぐる巻きになっているのか、と思いきや、メスが入った個所にちょっと大きめのバンドエイドが貼られているだけ。意外にあっけない程、きれいな状態でした。


それからは、手術を始めた時とは逆に、手術室まで運ばれてきたベットに乗り換えるのだけれど、僕は下半身麻酔された状態で自力で移動することができないので、今一度4人がかりで僕をベッドに移し替え、初めに入った Senhor Zé の待つ(待っていない)病室に戻りました。


手術終わって…

病室に戻って、下半身は麻酔のために感覚がないまま、全身麻酔でもなかったのに意識がぼーっとしたままです。手術って体力消耗するもんなんだ、と実感しました。
ベットは飛行機の座席のように稼働するから、ボタン一つで上半身を起こすことができるけれど、しばらくはあまり動かないように、と言われました。麻酔がまだ残っているから動くと頭に来るらしいです。

この麻酔のためと思われる頭痛に2日後、苦しめられました。

手術が終わったのが午後5時半ごろ。それから3時間も経ったのち、脚の感覚が何んとな~く少し戻ってきたような気がする、かな、気のせいか、というような時に看護師が野菜スープのようなものを持ってきてくれました。

朝から食べることはおろか、水分を摂ることもできなかったので、このスープの登場にホッとしました(大しておいしくはなかったんだけど…)。

そのまま、見回りの看護師に時々声をかけてもらいながら夜の11時30分、麻酔がほぼ切れて取り合えず自力で立ってゆっくり歩ける状態になった時点で、打ち合わせしておいた友人に連絡を入れ迎えに来てもらいました。

病院を出る時に、まずいくつかの薬の処方箋を渡され、2日後の検診、そして諸注意が書かれた用紙(重いものを持ち上げないように、脚を上げて寝るように等々)を渡されました。


術後経過。

まず、手術を受けた翌日は、手術した脚が痛くなることもなく意外なほど普通だったのに(歩き回ることはできなかったけれど)1日置いた2日後に強烈な頭痛がやって来ました。
頭が重くて、とにかく何もする気になれない。動くと頭がくらくらするから横になっていても、あまりに痛くて眠ることもできない。
恐らく麻酔によるものだろう、と思うけれどもそれが3日続き、4日目にやっと収まってきました。

今から振り返ってみても、あの手術後の頭痛が一番辛かったです。

その頭痛以外は、もし痛くなったら飲みなさいと言われた薬が必要になることもなく、10日後の検診に行ったときに、手術で切った個所に貼られていたバンドエイドも取り去られ、更に3週間後に、手術をしてくれた医者の検診で順調に回復しているから、もう来る必要ないよ、と言われ、自分が想像していたよりも呆気なく、病院通いも終わりました。

長かった、長かった。左足のくるぶしに潰瘍ができて痛くて普通には歩けなくなった日から、治療が終わる日まで1年以上、イヤもっと。
コロナウイルスの影響もあったとはいえ、長かった。

そして、みんな親切でした。受付の人から、手術前検査でレントゲンや採血をした人、実際に手術に携わった人たち。
慣れないポルトガル語にも辛抱強く付き合ってくれましたよ。
だいたい、ポルトガル人って助けが必要な人達(怪我している人、高齢者、小さい子供を連れている人、妊娠中の女性、障害のある人…)にとても親切な傾向があるんですよね。


さて、手術した脚にはまだ縫った跡や、痣などがあり、これが完全に消えるには何か月もかかるらしいです。でも手術をしてからほぼ2か月が経過し、普通に歩けるようになりました。
なんだかただそれだけで感動です。



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