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EESのイメージ |
2025年10月12日から、EU(シェンゲン圏の29〜30か国)で「出入域システム(Entry/Exit System=EES)」が段階的に導入されます。日本人を含む非EU国籍者が対象で、これまでのパスポートのスタンプ押印を電子的な記録と生体認証に置き換える仕組みです。EU公式広報誌 EU MAG でも詳しく紹介されています。
EU MAG 出入域システム(EES)について教えてください
ここでは、EESがどんな制度なのか、メリットと同時に「実際にはこういう課題もあるよね」という点を少し整理してみたいと思います。
EESの概要
対象:非EU国籍者(シェンゲン圏に短期滞在する人、もちろん日本人も対象)
記録するもの:入出域の日時・場所、渡航書類データ、顔写真や指紋などの生体認証情報、過去の入国拒否歴など
導入時期:2025年10月から6か月かけて導入し、2026年4月には全面運用スタート予定
EESのメリット(EUがアピールしていること)
国境審査の効率化:スタンプが電子化され、スムーズに通過できるようになる。
渡航者に優しい(はず):セルフサービス端末や事前情報提供で、待ち時間が減る可能性。
不法滞在防止:生体認証で滞在期間オーバーや偽造書類の利用を見つけやすくなる。
セキュリティ向上:リスクのある人物を特定しやすくなり、犯罪やテロ対策につながる。
デメリットや限界(実際のところ…)
不法入国は止められない?
EESは公式な国境を通る人には効果的だけど、陸路や海路を使って不法入国する人たちには対応できない。データがあっても送還できない現実
たとえばフランスでは「退去命令(OQTF)」が出ても、実際に強制送還されるのは全体の10%程度と言われています。つまり「誰が不法滞在しているか」は分かってもそこから先の実行力に難あり。プライバシー問題
顔や指紋といった生体情報を大量に集めるので、データ流出や監視社会化への懸念はつきまとう。登録されるデータは厳重に保護されており、と言っているけれどどこまで信用できるものなのか…コストが高い&運用も大変
設備投資やシステム維持、職員の教育など、莫大なお金と労力がかかります。導入直後はむしろ混乱する可能性も。ま、それは時間が解決するか。一般旅行者の負担増
対象は「普通の旅行者」なので、結局いちばん影響を受けるのは真面目に合法で観光やビジネスで訪れる人たち。慣れるまでは手続きが面倒に感じるかも。“やってます感”も?
実効性以上に「不法移民対策してますよ!」という政治的なメッセージの側面も見えるような気が...
メリットだけに目を向けずその裏の課題も冷静に見る必要あり
EESは国境管理をデジタル化して効率化を図る画期的な仕組みと謳っている一方、(公に言われている)不法移民問題を根本的に解決するものではないでしょうね。
特に、送還体制の不備や不法入国経路への対策不足など、EES単独ではどうにもならない部分が残ってます。
旅行者にとっては利便性が高まる部分もあれば逆に最初は不便に感じる部分もある。
不法移民が目的の人は陸を歩いて、海を渡って入ってくるでしょう。普通に真面目に正攻法で旅行に来る人達に負担を強いて結局不法移民は無くならない構図が透けて見える、というのは言い過ぎか???
そう言えば、6月にリスボン空港の税関を通過した時に、自動改札機のような機械がたくさん隅の方に置かれていましたね。このEESに対応するためのものだったのかな。
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